辺民小考

世の中の片隅に生きていますが少しは考えることもあります ― 辺民小考

公民館で本を受け取ろうとしたら・・・

 本は図書館で借りて読むことが多い。それも図書館には行かずにネットで貸出依頼して、近くの公民館で受け取ることがほとんどだ。昨日、本を受け取りに公民館に行ったら、取扱いをしていなくて受け取れなかった。月曜日は公民館で本の受取サービスをしてしていないことを、すっかり忘れていたのだ。


 公民館は国民の祝日と年末年始を除いて毎日開いているので、窓口には職員の人たちがいたし、図書館から届いた本を並べた棚が見えている。3日ほど前に、依頼した本を公民館に配送した旨のメールが図書館から届いていたので、その棚の中に私が頼んだ本もあるはずだ。それでも、本の受取サービスを担当する人は休みなので、受け取ることはできなかった。月曜日はサービスしないことを忘れていた私が悪いので、特に不満を感じることなく公民館をあとにした。

 

 そのあと、少し離れたスーパーに歩いて行ったが、歩きながら公民館でのことを考えた。本の受取サービスは、私から図書館利用券を預かって、棚にならんだ袋(その中に本が入っていて袋に頼んだ人の利用券番号を書いた紙が挟んである)から該当のものを探し、その袋を私に渡して受取りの署名をしてもらうだけなので、誰でも出きる作業だと思える。しかし、本の受取サービスを担当する人以外はそれをしないし、してはいけないのだろう。

 

 これは、雇われている人の業務内容が明確でそれ以外の仕事はしないということなので、ジョブ型雇用というものだなと思った。欧米の会社はジョブ型雇用だが、日本の会社はメンバーシップ型雇用で今後はジョブ型雇用に変えてゆくべきだという議論があるが、ここではジョブ型雇用が出来てるじゃん。これは、会社じゃなく役所(の出先機関)だからだろうか。でも、知り合いの市役所の職員は何年か毎に異動があり職場を移ると言っていたよな。ということは特定の仕事をするために雇われるのではなく、雇われてから年とともに色んな仕事を担当してゆくというメンバーシップ型雇用だろう。しかし、メンバーシップ型雇用でもある時点では決まった仕事をしていて、別の担当の人の仕事を肩代わりすることは普通はない。公民館での経験はそういうことだろうか。そうかもしれない。

 

 ここまで考えた時に少し別の方向に思考が広がった。知り合いは市役所の正規職員だが、公民館にいた人はパートタイマーなどの非正規雇用だろうと思った。今回経験したことは正規でも非正規でも普通のことだとしても、そのこととは別に正規と非正規の違いを考えていた。


 非正規の人は基本的に特定の仕事をするために雇われその仕事がなくなると契約終了となるのが普通だろう。だから、非正規雇用は本質的にジョブ型雇用なんだろう。では、正規雇用の人をジョブ型雇用に変えてゆくということは何を意味するのか。メンバーシップ型雇用が一般的である現在の日本では、正規雇用は「雇用期間の定めのない、いわゆる終身雇用」だが、これを非正規雇用と同じような有期雇用に変えてゆくことが、雇う側の本当の目的なのではないか。というあたりまで考えたら、スーパーに着いた。

 

 正規と非正規、ジョブ型とメンバーシップ型、この組み合わせは4つあるが、そのそれぞれについて考えてみたいという気もする。だが、今日はこれ以上考えない。昨日考えたことだけ書いて終わりにしよう。